男のイタリアン・テイスト 3
1953年作の映画『ローマの休日』では、グレゴリー・ペックとオードリーがローマのスペイン広場で過ごすシーンでのグレゴリーのスーツは、映画が1953年の作とはいえ、今のイタリアン・テイストに近く、歴史の繰返しを見るようで楽しいです。
ところで、イタリアン・シルエットが、エグゼクティブにまで広がりを見せてきたのは、アルマー二の女性バージョンがアメリカのキャリアウーマンに受け、そして世界の若い女性に大人気を博し、そこから男性へとつながってきたためです。
アルマー二に限らず、そのシルエットとデザイン、材質感と色は共に、肩の力を抜いた緊張感を緩めてくれるスーツですし、着てみてやはり楽なのです。
変化に富んだ織り方や素材、とくにウール、シルク、麻、綿等、色々な素材のミックスを楽しみ、少々耐久性がなくても、しわがいっても、そんなことは余り気にしません。
ポケットに物を入れることなど考えないし、また、入れると格好がつかないのです。
全体のシルエットを素材感と共に楽しむ、実にソフトなスーツで、とくにダプルのスーツにおいてはイタリアン・テイストが良くマッチします。
何も洋服に限らず、イタリア人の生き方は、ともかく、今日その日を楽しもうという心でいっぱいです。
マンジャーレ(食べて)、カンターレ(歌って)、アモーレ(愛して)、こそ、イタリア人の人生哲学でもあり、長いお昼寝のある昼休みとアフターエイト(8時以後)のために働いているのです。
北イタリアのミラノの街は、ゴシック建築が建ち並び、また、南イタリアの首都ローマは、古代ローマの遺跡に囲まれ、住む人々はイタリア人であっても、北と南ではライフスタイルも違うまったく趣を異にした街です。
ルネッサンスの発祥の地、有名なメディチ家のあったフィレンツェ、水の都ベネツィア等、これほど1つずつの街が独自性を持っている国は少ないでしょう。
個人個人の違いをはっきりさせて生きている国なのです。
ましてや服装の分野を1つのパターンにはめ込むのは、無理というものでしょう。